裁判のメリット・デメリット

不倫慰謝料の請求をするにあたり、必ず裁判をしなければならない訳ではありません。
しかし、相手の態度によっては、裁判が非常に有効な手段となる場合があることも事実です。

裁判のメリット

  • 裁判を起こしたことで、相手へのプレッシャーが増し、裁判上の和解や裁判外の交渉が有利に運ぶことが期待できる場合がある
  • 裁判官による、実務上適正な判断が期待できる
  • 相手が不誠実な態度に終始した場合でも、判決を得て差し押さえなどの権利行使が可能となる

裁判のデメリット

  • 相手の出方によっては、解決まで時間がかかる場合がある
  • 判決は裁判官の心証によるので、判決内容を確実に予測することはできない

裁判のメリットについて

裁判というと、「判決」を得るための手段というイメージを持たれるでしょうか。もちろんそれは正しい理解ですが、不倫相手の立場で考えると、裁判を起こされるかもしれない可能性や、実際に裁判を起こされた場合の負担自体が、様々なプレッシャーになることも、ご想像いただけると思います。したがって、裁判という解決手段は、最終的な「判決」という成果だけでなく、交渉段階での示談や、裁判内の和解を有利に運ぶという影響力も有しており、様々なメリットがあるものです。以下具体的にご紹介します。

不倫慰謝料請求の裁判を起こすと、こちらが「原告」(慰謝料を請求する側)、不倫相手は「被告」(請求される側)という立場におかれます。不倫の事実は原告側で立証する必要がありますから、原告は不倫相手が残したメールや写真、手紙などの様々な資料を、証拠として裁判所に提出することになります。本来、他人に見せる想定などしていなかった私的なメールや写真が、一つ一つ証拠として裁判で取り上げられることになりますから、単なる交渉の段階に比べ、不倫相手に生ずる心理的なプレッシャーは格段に高まることでしょう。こうしたメールや写真の公開自体を不倫相手が望んでいない場合、裁判を背後にした交渉も有利に運ぶことが期待できます。

また、裁判の期日は平日の日中に指定されることになります。「どの裁判所に訴えを起こすか」は、管轄のある裁判所の中から原告(こちら側)が選択できますから、被告(不倫相手)は訴えを起こされた裁判所に、自分で平日の日中に出廷するか、あるいは弁護士に依頼して出廷してもらうという対応が必要になります。特に、被告(不倫相手)が現在は遠方に引っ越しているような場合、本人または弁護士がこちらの裁判所まで出向いてくることになりますから、裁判に対応するコストも大きくなってきます。
さらに、被告(不倫相手)が最後まで徹底抗戦してくる場合には、尋問という手続によって、被告(不倫相手)本人が裁判所の法廷に呼び出されることがあります。尋問が実施された場合、被告(不倫相手)本人は法廷に立ち、原告側弁護士や裁判官から、不倫行為の有無や、主張の整合しない部分などについて、傍聴人もいる公開法廷で、指摘や質問を受けることになります。
このように、実際に裁判を起こした場合、不倫相手にかかってくる様々な負担・プレッシャーは中々大きなものです。交渉段階ではこちらの要求する金額・条件に応じなかった不倫相手であっても、こうした裁判の過程で折れてくるということは、実務上も十分ありうることです。

また裁判の場合、不倫相手が最後まで争ってきたとしても、最終的には判決という形で結論が出て、話が進んでいくという点もメリットです。判決の内容、特に慰謝料の金額は事前にはっきり予測することはできませんが、原告(請求する側)が不倫行為の存在についてきちんと立証できていれば、被告である不倫相手に対して、実務上妥当な慰謝料の支払いを命じる判決が言い渡されることでしょう。被告に支払いを命じる判決が確定すれば、仮に不倫相手が判決に従わず慰謝料を支払ってこない場合でも、相手の預金口座や給料債権を強制的に差し押さえることが可能となります。

このように、裁判をすることには様々なメリットがあるため、始めから裁判という選択肢を除外して解決を目指すことはお勧めしません。実際に裁判を起こすかどうかは、ご本人のお気持ちや個別の事情により、柔軟に判断していけばよいでしょう。

裁判のデメリットについて

一方、裁判を行う場合のデメリットですが、仮に判決が言い渡されるまで徹底的に争った場合、交渉でスムーズに解決できた件に比べると、一般的には時間がかかることが多くなります。
また判決の内容は裁判官の心証によるものですから、どのような判決が言い渡されるのか、慰謝料の金額はいくらなのか、事前に予想しきれない部分があります。
したがって、不倫行為の証拠資料が十分そろっており、不倫の事実を十分に立証できたケースであればともかく、証拠不十分なケースでは、ご本人が希望されているような判決内容になるかどうか、楽観的にはなれない場合もあり得るかと思います。

もちろん、実際に裁判を進める場合には、ただ漫然と判決を待つのではありません。弁護士がこれまでの経験や案件の内容に応じて、「こちらの主張がどの程度通りそうか」という検討を行いながら進めてまいりますから、裁判の状況をその都度ご本人に十分ご説明の上で、判決を希望するかどうかも含めて方針を決定していくことになります。

裁判を起こした後で和解するという手法

以上のように、不倫慰謝料請求の裁判にはメリットとデメリットがありますが、折衷的な解決策として、裁判の途中で、裁判官が提案してくる和解案を受け入れるという選択肢もあります。実務上は不倫慰謝料請求の裁判において、判決まで争われることはむしろ少なく、裁判の途中で和解して終了するケースの方が実は多いです。

不倫慰謝料を請求しているご本人からすると、「不倫相手と和解するなんて、とんでもない!」というお気持ちもあるかと思います。
もちろん、あくまで徹底的に慰謝料を請求して判決を得るという方針でも当事務所としては問題ありませんが、こうした和解は冷静に考えると、以下のように一考すべき価値があるものですから、一応ご紹介します。

◇裁判官の和解案は、裁判での主張立証をふまえた上で出されるものですから、ある程度判決内容を先取りしたものであると考えることもできます(判決まで争った場合に、現在提案されている和解案よりも、有利な内容となるかどうかの確証がありません)
◇判決と異なり、慰謝料の金額が事前に検討できます。
◇判決と異なり、和解に際して「二度と会わないこと」といった付帯条件を盛り込む事もできます。
◇裁判上の和解で作成される和解調書には確定判決と同じ効力があり、裁判外の交渉で作成された示談書とは全く異なる強力なものです。期限通りの支払いが無い場合など、和解内容の不履行があれば、直ちに差し押さえを申し立てることも可能です。

このように、不倫慰謝料の請求においては、裁判をするかしないか、裁判を起こしたとして、どう進めるかという様に、事案に応じた様々な選択肢と展開があり得るものです。

具体的にどういった選択肢をとることが、最もご本人の利益やご希望に合致した結果となるか、弁護士が慎重に判断しつつ、十分ご説明を差し上げながら進めてまいります。

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