不倫慰謝料は、分轄払にできますか?
「判決」になる前、「裁判上の和解」や「交渉段階の示談」による解決では、不倫慰謝料の分割払が成立するケースもあります。
ただ通常、慰謝料を請求してきた相手は一括払を希望していますから、そこを曲げて分割払の同意を得ることは、それほど簡単ではありません。
こちらの希望だけを一方的に述べていると、「支払う意思が無い」と判断されて裁判を起こされるリスクや、裁判の進行が「尋問」や「判決」に流れてしまうリスクもありますから、ある程度の譲歩が必要になる場合もあります。
状況に応じた判断が必要ですから、「慰謝料をきちんと支払いたいという気持ちはあるが、一括払は難しいかもしれない」という方は、早い段階でご相談ください。
交渉段階で示談が成立する場合
裁判になる前、交渉の段階で、分割払による解決が実現できれば理想的です。
交渉に臨む基本的なスタンスは、適正額の慰謝料を支払う意思自体は持っていることを示しつつ、経済的に一括払が難しい状況であること、仮に裁判を起こして判決を得ても、差し押さえによる強制回収は事実上困難であること等を主張していく形になるでしょう。
こうしたアピールによって、相手が「示談に応じて、任意の支払を受ける方が得策かもしれない」と判断する方向になれば、分割払を内容とする示談も成立しやすくなります。
ただ実際のところ、交渉段階でスムーズに長期の分割払が成立するケースは少なく、相手から「裁判」を起こされた後で、慰謝料を分割払する内容の「裁判上の和解」を成立させるケースが多くなっています。
裁判を起こされると都合が悪い事情がある方については、相手にとっても検討に値するような内容の代替案を用意しておく必要があります。
まずは、今回のご事情や、ご本人にとって最優先すべき事項をお聞かせください。
裁判の中で和解が成立する場合
裁判になった場合も、こちらの基本的スタンスは、交渉段階と同様です。
ただ裁判になった場合、不倫慰謝料を数回~数十回の分割払とする「裁判上の和解」が成立するケースは、比較的よく見られます。
これは裁判になった場合、裁判官が双方の言い分や、こちらの支払能力を確認した上で、必ずしも一括払にこだわらず、和解成立に向けた積極的な調整を行うことが多いためです。
このように裁判では多くの場合、裁判官が積極的に和解を成立させようとするため、両当事者間で交渉をしていた段階に比べると、分割払での和解を成立させやすい状況となります。
実務的には、一定額を頭金として最初に支払い、どうしても現時点で用意できない残額を分割払にするといった内容で合意に至るケースが多いと思います。
もっとも、和解はあくまで双方の譲歩と合意によって成立するものですから、慰謝料を請求してきた相手(原告)が、こちらの提案する分割方法に納得しない場合、裁判官も強制的に和解を成立させることはできません。
和解成立が困難と判断された場合、通常は「尋問」を実施した後で、「判決」が言い渡される流れとなります。
「尋問」になった場合
「尋問」とは、請求する側・請求される側の両当事者や証人を裁判所に呼び出して、裁判官が直接話を聞くための手続です。
ご本人も公開法廷において、傍聴人も見ている前で証言台に立ち、相手の弁護士や裁判官からも質問を受けることになります。
「尋問」を実施した後、別室で和解協議が行われることがあります。判決を回避して和解での解決を目指す場合、ここが事実上、最後のタイミングとなります。
直前に実施された「尋問」が、こちらにとって有利な展開となった場合には、相手の譲歩を引き出した形で、分割払の和解が成立する余地もあります。
しかし実際には、ご本人が「尋問」の場で相手の弁護士から厳しい追及を受けて不利な展開に陥り、相手の要求を受け入れた形で和解せざるをえない結果となる危険も十分にあります。
このように「尋問」には一定のリスクがあり、いずれにしてもご本人にとってストレスの大きい展開になりがちですから、最後まで徹底抗戦するという方針でない限り、「尋問」が実施される前に、何とか和解を成立させたいところです。
ご本人のお気持ちや支払能力にもよりますが、状況に応じて弁護士から具体的な方針の提案をさせていただきます。
判決になった場合
「判決」は、「被告は原告に対し、〇〇円を支払え」といった形で一括払いを命じる体裁となっており、もとより分割払を想定していません。
支払い日までの遅延損害金(年利5%)も付加されますから、仮に一部だけ支払ったとしても、全額の支払が完了するまで、残った元金について遅延損害金が発生し続ける状態となります。
不倫慰謝料は、分割払にできますか? まとめ
以上のとおり不倫慰謝料の請求を受けた場合でも、慰謝料の「分割払」を成立させることができたケースは一定割合存在します。
もし、どうしても一括払が困難ということであれば、支払総額は可能な限り低く抑えつつ、かつ分割での支払を成立させる方向で、交渉や訴訟対応を進めます。無料法律相談の際に、ご希望をおっしゃってください。
ただ不倫慰謝料を分割で支払う場合、相手配偶者との関係が長期間にわたり続くことになりますから、そうした状態が、ご本人にとってストレスの元になることも事実かと思います。
経済的に苦しい状況の方もいらっしゃるかと思いますが、可能な限り、一括払または短期間での支払によって、早期に今回の問題を終わらせるという選択肢も検討してみてください。
具体的な進め方、想定される展開などについて、弁護士が詳しくご説明を差し上げます。
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2018年2月19日