裁判のメリット・デメリット

裁判のメリット

  • 相手の過大な要求・不当な要求を排斥し、実務上、適正な内容の解決が期待できる
  • 裁判の中で、裁判官から和解案の提案を受けられる
  • 裁判手続の中で和解成立するケースが多く、口外禁止条項や分割払いなど、和解条件の調整も可能

裁判のデメリット

  • 裁判の訴状が、ご自宅に送達されてしまう
  • 心理的・物理的なプレッシャーが、交渉段階に比べて高まる
  • 裁判内で和解できず判決方向に進むと、ご本人が裁判所に呼ばれる「尋問」が実施される
  • 最終的に判決が出ると、給与などを差し押さえられる危険がある

裁判のメリットについて

不倫慰謝料の問題において、「裁判を起こすかどうか」は原告(請求する側)が決めることです。

したがって、ここでの問題は「裁判を起こされてしまった時、これを受けて立つことのメリットは何か」という観点からのご説明となります。

不倫慰謝料の問題解決に際して、裁判という手続は、あなた(請求される側・被告)に様々な負担を課すことになるため、基本的には歓迎できるものではありません。
(具体的には以下「裁判のデメリットについて」をご覧下さい)

ただ交渉段階で、相手が「職場を辞めろ」といった無理難題、数百万円~1000万円もの過大な慰謝料を要求してくるケースがあることも事実です。

相手があくまでこうした一方的要求にこだわり、交渉による示談成立の見込みが無い場合、裁判に対応することのデメリットを考慮したとしても、覚悟を決めて裁判を受けて立つことが、むしろ適正な解決につながるケースもあります。


<「裁判」による解決を検討するケース(一例)>

  • 「慰謝料1000万円」など、判決になっても通常は認容されないと思われる高額の慰謝料に相手が固執し、交渉の余地がない場合
  • 「職場を辞めろ」「配偶者や親にも不貞の事実を説明しろ」といった、慰謝料金額以外の部分で無理難題の要求があり、示談が成立しない場合

こうした場合には、もはや覚悟を決めて裁判を受けて立ち、裁判という公正な手続に乗せてしまう解決方針も検討してみましょう。

裁判になると、不貞・不倫の事実に間違いがないのであれば「実務上適正なラインでの慰謝料」を支払う結果は避けられませんが、相手の過大・不当な要求は、裁判手続の中で廃除され、実務上適正な内容の解決となることが期待できます。

そういった意味では、慰謝料を「請求される側」にとっても、裁判手続を利用するメリットが認められる場合があるのです。

裁判を起こされた場合に、当事務所がご提案する解決方針も、基本的にはこのようなメリットに着目したものになります。

具体的には「慰謝料の支払い自体は了承するが、その支払金額は実務上適正な額になるように争う。事実と異なる部分はきちんと反論する」といった内容になるかと思います。

弁護士から随時、状況報告と方針のご相談を行いながら裁判を進めていきます。まずは、ご事情や現在までの経緯について、無料法律相談にて詳しくお聞かせください。

裁判のデメリットについて

まず、「不倫の事実を、同居の方に絶対知られたくない」という方は、裁判を起こされると少々困ったことになる場合があります。裁判所から送達される「訴状」は、ご本人のご自宅(住所地や居所)に郵送されるためです。

送達された訴状を、同居の方が受領してしまうことで、不倫の事実を知られてしまう危険がありますから、具体的な進め方を事前に十分検討する必要があります。

【補足1】裁判所から届く書類が、常にご自宅に届く訳ではありません。
ご本人が訴訟対応も含めて弁護士に依頼されていれば、訴状が送達された後の郵便物(準備書面や判決など)は、全て代理人弁護士の事務所へ届くようになります。
したがって、最初の訴状送達時のみ、注意が必要ということになります。

【補足2】訴訟が起こされる前に相手の弁護士と協議し、こちらの弁護士が裁判所窓口で「訴状」を受領することができたケースもあります。
ただ、必ずこうした手法をお約束できるわけではありません。


他のデメリットですが、交渉の段階に比べて、ご本人様にとって、様々なプレッシャー・負担が強まるという点が挙げられます。
これは心理的なプレッシャーのほか、裁判に対応する物理的・手続的な負担という側面があります。以下、具体的にご紹介します。

裁判になると、不倫慰謝料を請求されている方(あなた)は「被告」という立場におかれます。
原告(請求する側)からは、不倫の過程であなたが残したメールや写真、手紙など様々な資料が、証拠として裁判所に提出されることになります。
本来、他人に見せる想定などしていなかったメールや写真が、一つ一つ証拠として裁判で取り上げられることになりますから、あなたとしては少々不愉快・不安なお気持ちになり、プレッシャーを受ける状態にもなるかと思います。

次に、裁判の手続的な負担です。
不倫慰謝料の裁判を起こされたとしても、弁護士に依頼されていれば、裁判所への出廷も含めて弁護士が対応します。 大多数の裁判は、ある程度のところで「和解」が成立して終了するため、ご本人様が裁判所に出廷しなければならない展開には、通常なりません。

ただし、裁判の中でどうしても「和解」を成立させることができず、裁判が「判決」の方向になると、話は別です。

一般的に、裁判所は「判決」を出す前に、争いのある事実関係を確認するため、原告本人・被告本人やその他の証人を裁判所に呼んで話を聞く「尋問(じんもん)」という手続を実施します。

「尋問」では、被告(あなた)ご自身が法廷に立ち、相手の弁護士や裁判官から、不倫行為の事実関係や認識内容、主張の整合しない部分について、公開法廷で指摘や質問を受けることになるのです。

当事務所の弁護士も、被告代理人として尋問に出廷し、相手に対する主張や質問を行うことでサポートしますから、あなたがお一人で法廷に連れ出されるわけではありません。
ただ、傍聴人も見ている場で法廷に立ち、自らの不貞行為について相手弁護士から質問を受けるという「尋問」のプレッシャー・負担は、決して軽いものではないと思います。

「判決」まで徹底的に争う場合、通常このように「尋問」の負担がありますから、相手に多少譲歩してでも和解を成立させる方向で努力するのか、それとも正面から「尋問」を受けて立つのか、個別案件ごとに方針を慎重に相談させていただきます。

当事務所では、不倫慰謝料の請求を受けた方について、常時複数の不倫慰謝料裁判を取り扱っており、「尋問」を含めた裁判対応の実績も豊富です。個別のご事情に応じて、最適な対応をご提案いたしますので、不明点等についてはお気軽にご相談下さい。

裁判の中で和解するという手法

不倫慰謝料請求の裁判を起こされた場合、前述したとおり、尋問を経て「判決」まで争われることは少なく、ある程度のところで「裁判上の和解」が成立して終了するケースの方が多数派です。

ご本人としては、相手との「和解」という言葉に違和感を感じられるかもしれませんが、実際に多くの方が裁判手続内で「和解」を成立させているのは、以下のようなメリットがあるためです。

< 裁判の中で「和解」を成立させるメリット >

  • 裁判官の和解案は、裁判手続で明らかになった主張立証をふまえ、裁判官の検討結果として出されています。つまり、これから出される判決内容が、ある程度反映されたものとも考えることができます。
    (これから尋問を経て判決まで争ったとしても、今出されている和解案と大差ない結論となる可能性が否定できません。)
  • 判決と異なり、和解案では慰謝料の金額が具体的に示されるため、持ち帰って検討することができます。(判決の場合、言い渡される時まで内容は分かりません。)
  • 判決と異なり、支払方法を分割払にすることも可能です。また「不倫の事実を第三者に口外しないこと」といった付帯条件を調整し、和解内容に盛り込む事ができます。(判決で支払いを命じられた場合、一括払になります。また他の条件を盛り込むことはできません。)

このように、裁判上の和解は判決に比べて柔軟な解決を実現できるため、あなたの利益に資する場合も多いかと思います。裁判所から和解案が出た場合、弁護士が内容を十分検討の上で、どう対応すべきかをご相談させていただきます。

なお一つ注意しておく必要があるのは、こうした裁判所での和解(裁判上の和解)が成立した場合、その和解調書には、確定判決と同じ効力があるという点です。

もし、あなたが裁判上の和解で定められた内容通りに慰謝料の支払を実行しなかった場合、相手はあなたの預金口座や給料を差し押さえることが可能となります。

もちろん一般的な示談であっても裁判上の和解であっても、一度決まったことは約束通りきちんと履行すべきではありますが、裁判上の和解は個人間での単なる示談とは異なる、強力な効果があるという点も、覚えておいてください。

不倫慰謝料の裁判においては、事案に応じた様々な選択肢と展開があり得るものです。
具体的にどういった選択肢をとることが、最もご本人の利益やご希望に合致した結果となるか、慎重に判断しつつ、十分ご説明を差し上げながら進めてまいります。

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